四国八十八ヶ所遍路 その2     (その1はコチラ

(つづき)
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8日目
は、21番札所、太龍寺(たいりゅうじ)を打つ。
また今日も山登りである。標高40mの大井休憩所から、まず那賀川にかかる水井橋を渡り、標高520mの太龍寺まで登る。ここでも鶴林寺・太龍寺の遍路ころがしを2日に分けて登る策をとったのだが、やはり若杉谷川から離れた山道に入ると登りはかなりきつくなった。
この遍路道には舟形地蔵丁石などの石仏が多く見られ、古の遍路道の面影が残っている。


石仏(弘法大師座像、地蔵尊など)



徳島県
阿南市水井町
 水井橋近く 2020年10月1日・撮影




徳島県阿南市水井町 2020年10月1日・撮影


舟形地蔵丁石 (1丁=109m毎に置かれていた道しるべ)



阿南市水井町 水井橋近く 2020年10月1日・撮影




阿南市水井町 2020年10月1日・撮影














太龍寺の仁王門を入ると、参道の途中から脇道に入って行く人がいたので、何かあるのだろうかと思い、後を着いていったら、大岩の上に北舎心ヶ嶽という祠があった。もちろん野次馬男としては梯子を登ってお参りした。不動明王の眷属である八大童子が祀られているという。


北舎心ヶ嶽



阿南市加茂町瀧山 2020年10月1日・撮影



阿南市加茂町瀧山 2020年10月1日・撮影



太龍寺で最も有名なのは、弘法大師がここで虚空蔵菩薩求聞持法(ぐもんじほう)を修行したということだ。求聞持法とは、真言を百日で百万遍唱えると、すべての経典を暗記できるという抜群の記憶力が身につく秘法らしい。
ちなみに、虚空蔵菩薩のご真言は、

「のうぼう あきゃしゃ きゃらばや おん ありきゃ まりぼり そわか」である。

オイラの場合、この真言一つ覚えていないのだから、あまた浩瀚の経典など、とてもとても…。



21番札所 太龍寺 本堂



阿南市加茂町瀧山 2020年10月1日・撮影


太龍寺 大師堂



阿南市加茂町瀧山 2020年10月1日・撮影


太龍寺 御廟の橋



阿南市加茂町瀧山 2020年10月1日・撮影

「西の高野」と呼ばれる由縁。




舎心ヶ嶽 弘法大師像



阿南市加茂町瀧山 2020年10月1日・撮影



太龍寺からの下山コースは、舎心ヶ嶽→「いわや道」→阿瀬比ヘンロ小屋→大根峠→22番札所平等寺、を採った。前回は太龍寺の駐車場から龍雅荘(旧坂口屋別館)を通るコースを歩いたので、今回は別の遍路道を選んだ。このコースの最大の見所は、舎心ヶ嶽。険しい岩場の上に弘法大師像が座し、海を見ている。是非とも近くまで行ってお参りしたいと思っていた。
遍路道が平らになったところで、いきなり後ろ姿が見える。崖を直登しないで、右側の巻き道を行けば、それほど危ないこともなく大師像の目の前に出る。礼拝した。右側の谷をロープウェイが静に通り過ぎていく。天気はいい。

阿瀬比ヘンロ小屋に野宿することもできたが、すぐ近くの道の駅わじきの食堂が改装中で休業していた。食料がちゃんとないと野宿はつまらない。なら、まだ3時だし、平等寺隣の民宿山茶花まで行くことにするか…。
途中に大根(おおね)がある。標高差100mほどだが、午後遅くなってからでは結構大変。また、この峠を越えてからの道が意外と長く感じられる。
でも、今日で遍路も8日目、そろそろ温かい布団が恋しくなってきた。
風呂にも入りたいなあ、旨い酒も飲みたいなあ…。そう思ったら、もうダメである。今日は民宿山茶花泊まりである。

前回の遍路で泊まった宿には、できるだけ泊まらないようにしようと考えてきた。お世話になった宿には、お礼がてらまた泊まりたくなるのが人情だが、遍路宿はたくさんある。古くからやっているところや、評判のいい宿がたくさんある。できるだけあちこちに泊まるようにしたいと思っていたが、この民宿山茶花だけは違う。また泊まりたい宿だ。その理由は、いちいち挙げたら切りがないし、まあ、泊まってみればわかる。とにかく、よいのだ!
新しいスマホで電話すると、一発でOKだった。今回の遍路ではじめての2食付きをたのんだ。
後は気が楽になって、チンタラ歩き、山茶花に着いたのは、結局今日も午後5時だった。平等寺の参拝は明日…。


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2020年10〜12月・更新




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