雪原のササ 【 笹 】


長野県 北横岳・1月15日撮影

 

烈風に身をよじる

山の雪原で、かろうじて頭をのぞかせているササの葉に、烈風が吹きつける。枯れた葉は絶え間なくあおられ、身をよじる。強く冷たい風は、雪を削り、硬く凍てつかせる。午後も遅い陽の光は、そんな雪原を真横から照らし、白銀の表情を冷酷なものに一変させる。
雪には、温かさと冷たさの二つの顔がある。北国の里では、雪が積もると暖かく感じるというし、雪の山でも、風の弱い晴れ渡った日など、日だまりはうそのように暖かい。太陽のエネルギーがゆっくりと雪の中にしみこみ、その下へ下へとたまっていくような気さえする。
だから、酷寒の冬の山でも、ササが根をおろしている雪の下の大地は、意外に暖かいのかもしれない。いまはただ、春の来るのをじっと待とう…。

            (2001.1.27更新)

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