ツクバネ 【 突羽根 】


山梨県南巨摩郡・1月4日撮影

追い羽根で落下傘

羽根つき遊びなど、とうにすたれてしまったが、山の林の中や縁などに生える落葉低木のツクバネの実は、形が羽根つきの追い羽根にそっくりだ。だ円形の実の先に羽根のような4枚の苞がついていて、大きさは実際の追い羽根よりだいぶ小ぶりだが、3〜4cmほどはある。
この実を投げると、プロペラのようにくるくる回りながら落ちてきて、楽しい。その小さな落下傘が回りながら舞い降りるさまは、何度やっても見飽きない。

子供たちがまだ小さかったころ、この遊びをやり始めたら、なかなか終わらない。初めの2、3回は、投げた実の取りっこをして、必ずだれかがベソをかくのだが、すぐに新しい実を「採って、採って」と、みんながせがむようになる。
回り方にたいした差はないように見えるのだが、それでも1回ごと次々に新しい実をほしがる。同じ実を拾ってまた投げればよさそうなものを、どうしてなのか、一度投げて回した実には、もう目もくれない。
いつも新品でないと気がすまないのか…、少しでもよく回る実で遊びたいと思うのか…、前とはちがった回り方をする実があるだろうとでも思うのか…。そのへんのところは、子供も大人も似たり寄ったりなのかも知れないが、まあ、無心に遊ぶ子供たちにとって、自然のものなんか使い捨てというか、消耗品なんだろう。

そんな遊びができるツクバネの実だが、冬の枝先にぶら下がっている姿には、枯れた趣があり、新春の茶席にもよく活けられる。 

            (2001.1.28更新)

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