アブラチャン 【 油瀝青 】



山梨県南巨摩郡・3月22日撮影

 

春を待ちかねて咲く

早春の山里では、まず最初にアブラチャン、ダンコウバイ、クロモジといったクスノキ科の木の黄色い花がよく目につく。
風はまだ冷たいが、春の訪れを待ちかねて、若葉が伸びる前に黄色い小さな花を小枝の節にかたまって咲かせる。遠目には、まだ枯れ木が目立つ山肌に、ポツンポツンと煙るように黄色に染まって見える。
アブラチャンとは変わった名だが、枝や葉に油を多く含み、生木でもよく燃えるので、アウトドアではたきぎに使われる。

今年の春は例年よりいくらか遅いようだが、そうはいっても、野山の草木はそれぞれの季節をたがえず毎年花を咲かせてくれる。早春には早春の花が咲き、春には春の花が待っている。人も花も、命がいっせいに萌えいづる春を待ち焦がれている。北国の人はなおさらだろう。

(2001.2.12更新)

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