イヌコリヤナギ 【 犬行李柳 】



東京都東村山市・3月22日撮影

 

いたずらっぽい早春の天使

ふつうネコヤナギというと、銀色の毛で覆われた柔らかい花芽を思い浮かべる。山の川岸などのどちらかといえば湿った場所に生え、春早くからなんともかわいらしい顔をのぞかせる。
もちろんネコヤナギという種名のヤナギ科の落葉低木がちゃんとあり、銀色の花芽をつけているのだから、なんらまちがいではない。ところが、実際に野山に出掛けてネコヤナギのなかまの花芽や、そのほころんだ花の穂を見ていると、種名がさっぱりわからなくなってきてしまう。
というのは、ヤナギのなかまは雄株と雌株に分かれていて、同じ種でもその雄花と雌花では形や大きさがずいぶんちがう。おまけに花が咲くにしたがって、雄しべのやくの色が変化していくものがあるので、ますますわからなくなってしまう。
野山に出掛けるとき、ワンカップはしのばせても、植物図鑑を持って行くほどの勉強熱心ではない。まあ、そのへんが致命的ウィークポイントというか、ど素人の悲しいところではあるが、そこは思いっきりよく、直感と勢いで平然と断定してしまう。まあ、素人の気楽なところでもある。
そんな調子で、なんともいい加減に種名を判断しちゃったのが、このイヌコリヤナギの雄株。高さ2〜3mほどになり、こちらも川や池などの湿ったところによく生えている。
それにしてもこの花、咲きはじめの穂の恥ずかしげにすねたような曲がりぐあいといい、赤から黄色への劇的な色の変わり方といい、かわいらしいというより、もう、いたずらっぽい早春の天使といった感じである。

(2001.2.17更新)

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