スイセン 水仙 】

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静岡県下田市爪木崎・12月30日撮影

暖国の海岸に匂う

暖国の冬の海岸に、一面に咲く野生のスイセンの花を見てみたいと、伊豆半島も南端に近い爪木崎へ出かけたのは、12月も末だった。東京に比べれば、確かに暖かだったが、やはり冷たい冬の潮風が吹きつけていた。それでも、海岸一面のスイセンは、満開の花をほころばせ、甘い香りを漂わせていた。一番下の子が生まれた年のことだから、まだ1歳に満たない赤ん坊を連れて、よくぞこういう旅行に行ったもんだと感心する。
近年は、気象の変化のせいか、開花期が年毎によってずれるようで、昔よりいくぶん遅れて1月中旬ころに満開になるらしい。日本の花暦では、2月の花とされている。
スイセンの花には気品があり、凛としたたたずまいがいかにも日本的だが、室町時代に中国から渡来した植物だという。それがいつの間にやら庭から逃げ出し、暖地の海岸などに安住の地を見いだして野生化している。
そもそもこの花のなかまの故郷は、地中海沿岸地方だという。ギリシャ神話では、美少年ナルキソスは、ニンフのエコーの愛を無視したため、その罰を受けて自分だけを愛するようになり、水面に映る自分の姿に見とれているうちに、花になってしまったと語られている。そして、この水際に咲いた花がスイセンだという。

(2003.2.3更新) 

 

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