アズマイチゲ 【 東一華 】


山梨県 南巨摩郡 ・ 3月28日撮影

 

陽光を浴びて花開く

春の彼岸のころには、毎年ここを訪れていた。今年はちょっと無理のようだ。そういえば、去年も行かなかったのかも知れない。知らず知らずのうちに遠のいていく場所というのがあるような気がする。

アズマイチゲの花は、雨や曇りの日はみな閉じている。日が射さないと開かない。だから、シャッターをきらずに帰る年もあった。
だが、そんな年でも、ほっと胸をなでおろす。この山の村ばずれの野原に、この1年間、何事も起こらず、アズマイチゲはまた花をつけたのだから。ただそれを見とどけただけでも、十分である。

草丈は10cmほどで、自分の葉さえ支え切れないのではと思えるほどにか弱い。しかし、早春の陽光を浴びて開く花は、その背丈に似合わず大きく、健気である。でも、やはりどこか切なげな花で、好きな花のひとつである。

(2001.3.20更新)

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