ヒオドシチョウ 【 緋威蝶 】


山梨県南巨摩郡 ・3月22日撮影

ひなたぼっこ

3月、その年のいちばん最初のぽかぽか陽気の日、ヒオドシチョウは長い眠りから覚める。このチョウは1年の4分の3は寝て暮らすという、人間様から見れば優雅な身分なのである。それも卵とかさなぎの姿ではなく、正真正銘のチョウの姿で長い休眠をする。暑くなる夏の初めから寒さの厳しい冬の間まで、このチョウはいずこへともなく姿を消してしまう。そして早春には、再びどこからともなく現れ、鎧の緋おどしをおもわせる羽を広げてひなたぼっこをする。
日本全国でよく見られ、珍しいチョウではないのに、どんな場所に隠れてどのように長い眠りについているのか、その休眠の生態はまだ十分に解明されていないようだ。
チョウや虫の生活については、まだわかっていないことのほうがはるかに多いと昆虫学者はよくいう。地球上の昆虫は75万〜100万種類、人類は現在たったの1種類。宇宙船地球号はただいま昆虫全盛期で、昆虫のなかで人間や動物が暮らしてるといってもよいほどだ。人間が知り得た自然の姿や真実は、まだほんのわずかに過ぎないということだ。そのわりには、デカイ面してやりたい放題をしている。

(2002.3.1更新)

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