スミレ
【 菫 】
東京都 小平市 ・ 4月25日撮影 |
可憐な姿と気品の花色
日本にはスミレの種類が多く、ざっと見ても60種以上はあるという。日本は“すみれ王国”なのだそうだ。スミレの仲間の全種類を見分けられたら、それだけで学者になれるなどとよくいわれる。 スミレの仲間は、海辺から高山にまで生育し、花の色も紫色だけでなく、白、ピンク、黄色と多様である。ほとんどに、何々スミレといった名前がついているが、その中で単に「スミレ」の植物名をもらっているのがこの種類である。 濃い紫色の花、すらりと伸びた花茎、細長いへら形の葉が特徴で、日当たりのよい丘陵地などで、可憐な姿と気品のある花色を見せてくれる。数あるスミレのなかの代表といえよう。 草の高さは10cmほどになり、横の2枚の花弁の内側に白い毛が生えているのが、似ているノジスミレとの区別点。
春の野に菫採(つ)みにと来し吾ぞ 野をなつかしみ一夜宿(ね)にける
万葉の自然歌人・山部赤人は、すみれの花をこう詠んだ。 ただ、この菫とはセリだとか、染料を採る目的だとか、はたまた女性なんだとか、諸説があるようだが、いずれにしても待ちこがれた春の野の美しさをうたったことにかわりはないだろう。
今日は、東京は時ならぬ雪。花に嵐のたとえはあっても、雪とは、桜の花もかわいそうなものだ。なごり雪なのか…。そういえば、あの歌が流行ったころは、よく春の雪が降ったものだ。
(2001.3.31更新) |