エゾタンポポ【蝦夷蒲公英】

 長野県大町市・4月12日撮影

 日本列島“たんぽぽ地図”

春の陽気に誘われて,野に出る。道ばたや土手では,野の草たちもやわらかな陽射しをいっぱいに浴び,心地よさそうに花を咲かせている。

春の野の花で,タンポポを知らない人はまずいないだろう。でも,種類が主なものだけでも20以上もあるというのだから,驚いてしまう。
花の下のがくのように見える総苞という部分の形と長さが,種類によってみな少しずつ違う。
日本の在来種では,関西以西に生えるカンサイタンポポ,関東や中部太平洋側のカントウタンポポ,そして中部以北の自然の豊かな農山村に多いエゾタンポポが主なもので,どれも総苞はそり返っていない。
外来種では,都会にもよく見られ,総苞がそり返ったセイヨウタンポポが日本全国いたるところに広まっている。最近では,アカミタンポポという新種がのしてきている。たねが赤みを帯びているだけで,外見はほとんどセイヨウタンポポと同じで,区別が難しい。
さらに花の色から見ると,東京以西で見られるシロバナタンポポもある。
この際調子に乗ってさらに広げれば,3000m近い高山にも,意外にタンポポは咲いている。ミヤマタンポポ,クモマタンポポ,ヤツガタケタンポポと,独自の種類が多い。日本列島,タンポポひとつをとっても,こんなにおもしろい。

タンポポの英語名はdandelion。ライオンの歯だそうで,その葉のタンポポサラダもそろそろ苦くて終わりだろう。これからの季節なら,花の天ぷら(なんにもうまくないです),根のきんぴら(話のタネにはなります),根を炒ったコーヒー(二度と作りません)といったところかな…。

(2000.4.13)

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