ニリンソウ【二輪草】 4月

山梨県増穂町・4月30日撮影

寄り添い、慕うように

ニリンソウは、山の小川の岸や林の下の湿ったところに、よく群落をつくる。4月から5月ころ、1本の茎の先に二輪の白い花を咲かせるので、その名がある。
ただし、一輪、二輪と少し時期をずらして咲く。だから、並んで咲くというよりは、寄り添うように、慕うように咲いている感じがする。そのため、♪ふたりは二輪草〜♪なんていう歌もはやる。

しかし、自然はけっこう意地悪で、ニリンソウなのに一輪しか咲かないものもあれば、なかにはちゃっかり三輪咲いているやつまでいる。三輪咲きなど見つければ、思わず苦笑させられるが、まあ、それは人間の勝手な解釈というものであって、植物学的にいえば、ニリンソウは1〜3本の花をつけるということになっているようだ。

さらに、ここで話が少々ややっこしくなるのだが、よく似てはいるが別の種類で、1本の茎に三輪の花をつけるサンリンソウという種類がちゃんとある。
花の数は、こちらは、はっきり言ってもう滅茶苦茶で、一輪がいるかと思えば、なんと四輪までいる。(こんちくしょう)
でも、もうここまでくれば、どうぞお好きに…とも言いたくなる。

ニリンソウは、仲睦まじく咲く白い花が美しいばかりでなく、山菜としても有名。有毒植物の多いキンポウゲ科の中では、めずらしく食べられる。花のついた葉と茎を汁に放ったり、おひたしや和え物がいいそうだ。
ただし、柔らかくておいしいとされる花の咲く前の葉は、猛毒のトリカブトの葉にとてもよく似ているので、くれぐれも注意が必要。私はまだ食べたことがない。じつは、コワイのである。
いや、美しい花の咲くニリンソウを食べてしまうなど、無粋者の仕業だと、とりあえず負け惜しみを言っておこう。

(2000.4.21)

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