鮮黄の帰化植物
子供のころ、庭の小さな池からの水路に、この黄色いアヤメのようなキショウブの花が咲いていた。細長い葉は長さが1mほどにもなり、ぼうぼうと茂っていた。大柄で鮮やかすぎるほどの黄色い花は、子供心にもどこか刺激的な感じを漂わせていた。案の定、明治時代に日本に入ってきた帰化植物で、原産地は西アジアからヨーロッパだそうだ。 この細長い葉を元からとり、先っぽのへなへなした部分を切りすてると、なんとなく剣のようになるので、これを使ってよくチャンバラごっこをしたものだ。いくら葉をとっても叱られなかったのは、すでにこの花が川や池のまわりにいくらでも生えていて、かなりぞんざいに扱われていたからなのだろう。「ぞんざい」って、意味わかりますか? わからないだろうな。私自身、とっくに忘れていたようなこの言葉が、ふっと頭の中からわいて出てきたときには、なんともおどろいた。というか、奇妙な感覚だった。でも、そういうことってあるんだ。 てっきり方言だと思ったので、念のため国語辞典を調べたら、ちゃんとのっているではないか。しかも、当て字だけど「存在」と書くそうだから、意味ありげで、やはりそうぞんざいには扱えない言葉なのかも知れない。そういえば、この言葉は母が口癖のようにつかっていた。
*このファイルをなくしてしまったので、思い出しながらまた書いてみました。同じ文って書けないものですね〜。
(2002.5.30/6.16更新) |