ミズバショウ 【 水芭蕉 】

 

 白い花よ
   
Aへ贈る

色を奪われた白い花よ
熱を失った白い炎にも
山の春の陽射しは穏やかに降りそそぐ
光は水辺で玉となり、ほとばしる
白い花よ
純白のなめらかな姿かたちよ
お前はむしろ艶めかしい
ほのかに甘い香りさえ漂うではないか
いつまでも雪をなごり惜しむのは、もうおやめ
季節はいつも駆けぬけていく
緑の中へまっしぐらに
迷いも、ためらいもなく
                          (99.5.25)

 

長野県栂池自然園・6月3日撮影

私の街に夏が来れば…

ミズバショウといえば尾瀬が有名だが、本州中部以北の山の湿地では、特にめずらしい植物ではない。雪が解けた際からすぐに芽を出し、白い花を咲かせる。

歌の文句の“夏が来れば思い出す”とは、私の街に夏がやって来ると…、という意味で、ミズショウは夏の花というより、山の春の花である。

白い花びらのように見える部分は苞で、花は中心に棒のように立っている部分にある。そこには小さな黄色い花がたくさん集まっている。花にはほのかな甘い香りがある。

花が終わると、葉はどうしてそんなにと言いたくなるほど、異様に大きくなる。長さ80cmくらいにもなり、風にただばさばさ揺れている。
水辺に生え、この大きな葉がバショウの葉に似ているところから、その名がついたという。

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