モミジイチゴ 【 紅葉苺 】
みずみずしい初夏の味
初夏は野イチゴの季節。草いきれの中、夢中になって木イチゴをつみ、次々に口にふくむ。みずみずしい自然の味わいと甘酸っぱい香りが、口の中いっぱいに広がる。懐かしい野の味が堪能できる。子供たちは、とにかくものすごく喜んだ。はじめのうちはおっかなびっくり口に入れるのだが、なんせ親がところかまわず採ってガツガツバクバク喰うので、安心するのか、すぐまねをする。喰い飽きれば、今度は帽子や袋にためだし、だれがいちばんたくさん採れるかと、いつの間にやら競い出すから、とにかく切りがない。そういえば、夢中になりすぎて、鼻血を出した子もいたなあ。
ふつうキイチゴと呼ばれているこのモミジイチゴは、林の縁や明るいやぶなどに多く、黄橙色の実は枝に並んでつくので、すぐに目につく。でも、枝に刺があるので、あせると痛いめをみる。熟したイチゴは触れるとほろりと落ちる。先客の小さなアリがたかっていたら、ふっと息で吹き飛ばして口にほうりこめばよい。美味しい初夏の野の味である。(2003.6.17更新)