トチノキ 【 栃の木、橡の木 】

福島県檜枝岐村・6月18日撮影
大木になる 
トチノキは、とにかく大木になる。高さが30mくらいにもなる。だから山中で、花の時期などにこの木にでっくわすと、ただただその大きさに恐れ入る。
渓流沿いの湿り気のあるような場所によく生えるので、対岸や上流側から、樹全体をやや俯瞰するように見ることが
できる。谷間の空間が広がったような所なので、木は自らをいっそう大きく雄大に見せる。
花は5〜6月ころに咲き、円錐状の花の集まりは大きさが20cmくらいにもなる。葉は5〜9枚の小葉からなる掌状複葉だが、真ん中のいちばん大きな小葉は、小葉などといっても30cmくらいにもなる。葉の大きいことでは、ホオノキと並んで、グンを抜いている。
秋には丸い実ができ、水にさらせば食べられるという。かつて山村では、この実からトチ餅をつくって食べたそうだが、手間を考えたら合わないだろう。たぶん大量に保存しておいて、飢饉のときなどに食べたのだろう。
トチノキはもちろん自然の中に自生している木だが、よく街路樹などにも植えられている。そういえば東京の都心にも、たしか霞ヶ関あたりの官庁街に立派な並木があったような気がする。見かけると、花の時期になったら撮りに来ようなどと思いながら、なんのことはない、今年も果たせなかった。もちろん行ったことはないが、パリの有名なマロニエの街路樹とは、このトチノキの近縁種のセイヨウトチノキだそうだ。花も葉もトチノキにとてもよく似ているが、実に刺がある。

2003.6.13更新)

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