気品ある草むらの薬草
初夏から夏に、山の日当たりのよい草原でよく見かけ、高さは20〜30cmほどになる。深い紫色の花が草むらの中でも目をひき、気品がある。花は下のほうから順に咲いては散り落ち、花の美しい時期は短い。下のほうの花が咲いているときは上のほうはまだだし、上のほうが咲いているころには下のほうはもう枯れ始めていることが多い。よい状態の花を見つけるのがなかなかむずかしい種類だと思う。 名前のウツボとは、昔、矢を束ねて入れるために腰などにつるした武具の一種のことで、花の枯れ落ちたあとの茶色の姿がこれによく似ていることからついた名だという。 この花が昔から知られていたのは、枯れた花穂が漢方で「夏枯草」(かこそう)と呼ばれ、利尿薬として用いられていたからだろう。 東京周辺の平地なら今ごろ咲いていて、信州の高原では8月ころまで見られる。
(2002.6.17更新) |