キタダケソウ【北岳草】
山梨県北岳・7月13日撮影
孤高の純白
「日本で二番目に高い山はどこ?」と聞かれても、チョット答えにつまる。 山梨県、南アルプス北部に位置する北岳、通称白根山3192mである。
この山の頂上近くには、6月下旬から7月初旬にキタダケソウの花が咲く。草丈は10cmくらい、 花の直径は2〜3cmほどで、純白の菊を思わせる。群落をなしてはいるが、この北岳のごく限られた場所にだけ分布し、すぐとなりの山にさえまったく見られない。まさに稀少種といえる。
同じなかまの花も、北海道日高山地のアポイ岳に咲くヒダカソウただひとつである。極めて古い起源の植物が、遠く離れた高山の山頂で、かろうじて孤高の純白を守ってきたのだろう。今年も、キタダケソウの写真を撮りに行けなかった。毎年、今年こそもう一度、と思いながら、なかなか実行できない。体力を知り尽くしてしまった気力が、ずいぶん正直者になってしまったものだ。
(2000.7.12)
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