ミヤマハナシノブ【深山花忍】

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 山梨県北岳・7月13日撮影

 

気品ある深山の青紫色

 ミヤマハナシノブは、北アルプス白馬連峰の清水(しょうず)岳と南アルプスの北岳(白根山)にだけ知られている高山植物。夏山シーズンが始まるころ、雪渓のまわりや針葉樹林の縁などの草原で群落をつくり、澄み切った青紫色の花を咲かせる。

長くきつい樹林の登りのあとに、高山の沢ぞいや草原には爽やかな風が渡り、あふれんばかりの夏の日差しが降りそそいでいる。
北岳の大樺沢は、その年の天候によって雪渓の大きさがずいぶんちがう。この写真を撮った年は雪渓が大きかった。そのため、雪渓につけられた道からミヤマハナシノブの咲く場所には、いとも簡単にたどりつけた。
今年もミヤマハナシノブの花は、変わらずに青紫色の花を咲かせているのだろうか。

花は大きさが2〜3cmほどで、高さ40〜80cmの茎の先に数個つく。花びらは5弁のように見えるが、元のほうがくっついている合弁花である。その名は、「深山花忍」と書く。なんとも奥ゆかしく、気品のあるいい名である。葉の形がシダ植物のシノブに似ていることからついた名という。 

単にハナシノブという花はまだ見ていない。九州にだけ分布し、絶滅が心配されているが、熊本県の植物園で自然のまま保護されていると聞いた。花の時期は6月だという。ぜひとも会いに行きたいものだが、さすがに九州は遠い。 

(2000.7.18)

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