ワスレナグサ【忘れな草】
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長野県木崎湖畔・7月26日撮影
伝説の悲しい恋の花
ドナウ河のほとりで、騎士ルドルフは恋人ベルタのために、青く美しく咲く花を摘んであげようと、勇敢にも川岸に下りた。ドナウは滔々と流れる大河である。
可憐な花を採り終わったころ、悲劇が起きた。ルドルフは足を滑らせて川に落ち、みるみるうちに急流に流された。必死にもがくルドルフは、「私を忘れないで…」と叫び、花束を岸辺のベルタに投げると、激流の中に消えたという。
そんな伝説がドイツにもイギリスにもあり、この青い可憐な花を、Forget-me-not“忘れな草”と呼ぶようになったという。草の高さは20〜30cm、花の大きさは1cmにも満たない。栽培もされているが、ヨーロッパ原産の外来植物で、初夏から夏に中部地方以北の小川や池のほとりなどで意外によく見かける。花言葉は、もちろん「私を忘れないでください」。
それにしても、忘れないということと、忘れ去るということでは、いったいどちらが幸せというものなのだろうか。
(2000.7.5)
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