ヒメシャジン【姫沙参】
▲栃木県那須岳・9月撮影
青空の蒼さに身を染める
ヒメシャジンは、本州中部以北の高山の草原や砂礫地に生える。
草の高さは20〜40cm。花は、8〜9月に咲き、長さが2cmほど。
小さな鐘形の花が山の風に揺れるさまは、なんとも可愛らしい。
リンリンと涼やかな鈴の音でも聞こえてきそうである。夏山登山も後半の8月に入ると、高山の花の種類は7月頃とは目に見えて変わる。高山の花は、短い夏をさらに短く生きている。ヒメシャジンは夏の後半の花である。
高山植物の花では、「青紫色の花が好き」と言った人がいた。
青い花には、どこか一心に青空の蒼さに身を染め上げたようなところがある。
けなげだが、切なげな花でもある。名にあるシャジン(沙参)とは、漢方薬に用いられるツリガネニンジンの根のことで、同じ仲間の植物にはその名が多くつけられている。
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