クマゼミ 【 熊蝉 】

08KUMAZEMI-M.JPG - 20,116BYTES  静岡県 静岡市 8月・撮影

 日本で最も大きいセミ

いくら雨の多い冷夏だったとはいえ、やはり蝉の鳴き声は、夏の暑さをいやがうえにもかり立てる。炎天下でジージージーと耳にこびりついてくるアブラゼミの鳴き声は、まさに油が煮えたぎったようで、しつこく、やかましい。
一方、朝夕の森から、カナカナカナとかキッキッキッと聞こえるヒグラシの鳴き声には、どこか哀切感があり、もののあわれを感じさせる。私は、子供のころから、このヒグラシの鳴き声が好きだった。ヒグラシに限らず、蝉には、どこかはかなさかある。
しかし、そんな感傷をまったく感じさせないのが、写真のクマゼミである。クマゼミは日本のセミのなかで体が最も大きい。はねの先までで約65mmもあって、盛り上がった胸部が黒光りして逞しい。
本州では東京以南、四国、九州、沖縄などにすみ、8月に最も多く見られる。ただし、東京の多摩地区では、私は鳴き声を聞いたことがないのだが。
シャーン、シャーン、シャーンと、実に大きな声で派手に鳴く。セミの王者の貫禄である。手につかまえると、震えるはねの力感がビシビシと伝わってくる。
お盆にふるさとに帰ると、早朝からこのクマゼミがいっせいに鳴きだし、朝寝坊なんかできたものではなかった。そういえば、今年もお盆には帰省しなかった。なにがおもしろいのか、いい年かっくらって山ばっか登っている。石や骨を拝んでも意味はないのだが、でも、いまだ親不孝者であることには違いないだろう。

さて、クマゼミも、数年の地中でのくらしに比べ、地上での命はわずかに1〜2週間にすぎないという。ふりしぼるような鳴き声が、なんとなくわかるような気もする。

2003.8.26更新

 

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