ニッコウキスゲ【日光黄菅】

 長野県北安曇郡栂池・8月15日撮影

霧晴れる

ニッコウキスゲは,夏の高原の花としてよく知られている。群落をつくるので,山の斜面を濃い黄色の花で埋めつくすことがある。
群生地は,尾瀬ヶ原,日光の霧降高原や蓼科高原の霧ヶ峰などが有名だが,北は北海道の低地から,西は滋賀県の伊吹山にまで見られる。
その名をゼンテイカ(禅庭花)ともいう。ひとつの花は、朝に開いて夕方には終わる。一日花である。

写真は、白馬岳の麓の栂池付近。霧にとじこめられた山歩きのすえ,風の流れにふと驚かされると,みるみるうちに山霧が晴れ,この明るく鮮やかな黄色い花の群落が見えてきた。思わず歓声を上げたくなる瞬間だが、このときはただ茫然と見とれていた。なんと、にわかに雲間から夏の陽射しがさし始めたからだ。あまりにも劇的な天気の好転だった。
さんざん苦しめられ、どちらに進めばよいのかもわからなくなってしまった深い霧が晴れるときなど、案外こんなあっけないものなのかも知れない。

(2000.8.15)

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