ヨツバシオガマ【四葉塩竈】
富山県立山室堂・8月12日撮影
浜で美しいから…
日本アルプスにも、山岳有料道路やロープウェーなどで、一気に高山にのぼれる有名地がいくつかある。
写真の北アルプス立山室堂をはじめとして、立山へ長野県側から入る黒部ダム大観峰、コロナ観測所のある乗鞍岳、西穂高岳への新穂高ロープウェー、唐松岳への八方尾根、白馬岳への栂池高原、中央アルプスなら木曽駒ヶ岳の千畳敷と、挙げていけばこんなにある。いずれも夏は山上の観光地となる。便利で楽な乗り物を利用して山へ登ってしまったとき、山好きは複雑な心境になる。ちょっと後悔もする。でも、年齢や体力、日程を考えれば、それも致し方ないと最近は諦めることにしている。でも、やっぱり少々苦い思いが残る。
だから、翌年は反動なのか、身のほど知らずにやけにハードな縦走などに挑んだりするのだが、案の定、さんざんな痛い目にあう。登山に関しては、そんなことの繰り返しがここ数年続いてきたような気がする。この写真を撮ったときは、もちろん扇沢からトロリーバス、ロープウェー、地下ケーブルカーに乗ってしまった。でも、ちゃんとテント担いで立山三山と剣岳に登った。写真を撮った場所は、ケーブルカーの終点室堂駅から歩いて5分。まわりはまさに雑踏だった。
ヨツバシオガマは、ふつう4枚の葉がきれいに輪になってつく。シオガマ(塩竈)とは、海水を煮つめて塩を作るかまどのことで、昔は浜辺に並び、美しい景観をなしていたという。そこで、「浜で美しい」を「葉まで美しい」と掛けて、その名がついたという。しゃれた命名なのかも知れないが、ホントかいな?…とも言いたくなる。
草丈は中部山岳地帯のものは20〜30cmくらい。鮮やかな赤紫色の花は、穂になってすらっと立ち、夏山ではおなじみの高山植物といえる。
(2000.8.29)
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