オミナエシ 【 女郎花 】


大阪市 ・8月撮影

 

女郎花哀話

深く契った女が、男に捨てられた。男の名を小野頼風という。女は恋しい想いを断ち切れず、ついに川に身を投げて死んだ。
死をもって現実を拒否し、自らの想いを固定する。
脱ぎ捨てられた山吹色の衣は、ただ朽ち果て、そのあとに1本の草が生えた。鮮やかな黄色い花が吹き出すように咲いた。その花が女郎花だという。
平安時代初めころのお話。
自死という凄まじい生き方は人々を驚かせ、ときに涙をさそう。しかし、そこにはいたたまれないほどの悔しさと、どうしようもない空しさしか残らない。それは、なぜなのだろう。死を選ぶことも、やはり生き方のひとつなのだから、その行為は、明らかに自己矛盾をきたしているのだろう。

オミナエシは、いうまでもなく秋の七草のひとつ。野山の草原や高原で、枝分かれした茎の先に小さな黄色い花を密生して咲かせる。万葉の時代から日本人に好まれた秋の花で、詩歌や絵画などによく表された。
その名は、古くはオミナメシと呼ばれ、黄色く細かい花を粟やきびのめしに見たてた女飯(おんなめし)から付けられたという。白花で全体に逞しい感じのオトコエシという花もちゃんとある。

(2001.9.17更新)

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