シュウメイギク 【 秋明菊 】


山梨県南巨摩郡 ・9月22日撮影

 

野にありてあでやか

山深い神社の長い石段を登りきると、その裏手からやっと登山道がはじまる。杉の巨木が立ち並び、あたりは深閑としていた。そんな薄暗い林のふちの登山口で、この花を初めて見た。鮮やかな赤紫色と、花の直径が5〜6cmもある大柄で八重咲きの姿は、秋の野山では珍しく、どこか目立ち過ぎる気がした。
案の定、シュウメイギクは、中国から渡来した園芸植物が野生化したものだそうで、今では全国の野山に見られる。特に京都の北の郊外にある貴船山に多いので、キブネギクとも呼ばれる。
もちろん今でも庭などに栽培されていて、白花をよく見かける。秋に菊に似た花を咲かせることからその名が付いたというが、菊とは縁もゆかりもないキンポウゲ科の、いわゆるアネモネのなかまである。どうりで、野にあってもあでやかなわけである。

(2001.10.4更新)

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