ジョロウグモ 【 女郎蜘蛛 】
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蜘蛛は天才である 秋は野山を歩いていると、クモの巣がずいぶん目につく。林の中を歩いているとき、知らずに顔などにからみついたりすれば、気持ち悪くて、手足をフル稼働して払いのけずにいられない。実は、クモは大の苦手である。カニもヘビもゲジゲジだってゼンゼンOKなのに、クモだけはダメなのである。 子供のころ、夜、天井にイエグモが出てくると、恐くていつまでも眠れなかった。アシダカグモというやつだろうが、大きいのは おっと、ジョロウグモの話だった。まあ、クモは苦手でも、クモの巣に朝露が小さな水玉となってついていたり、逆光の夕日に輝くときなど、その幾何学模様はやはり美しい。 尻から出る糸をたくみにくくり、設計図もなしに空中に規則正しい網の目の巣を張るのだから、まさに、“天才”である。 写真のジョロウグモのメスは、産卵を前にして、黄色い縞模様の腹をはちきれんばかりにふくらませている。脇腹からはその特徴である血のような赤い模様ををのぞかせている。いかにも名前通りのメスグモである。 一方、“女郎蜘蛛”のオス(←苦手な人は見ないように、と言うと見たくなるよね)は、体の大ささはメスよりはるかに小さく、目立った色や模様もなく、かわいそうなくらいに控えめで、貧相な、“しけた野郎”なのである。なんだか身につまされるなあ。 ところで、クモだけはどうして自分の網にからまないで歩けるのだろうか。それは足の先から出ているあぶらのおかげなのだという。試しにベンジンなどで足のあぶらをふきとってしまうと、さすがの天才のクモも、自分の巣にからみついてしまうそうだ。 (2001.11.2更新) |
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