サザンカ 【 山茶花 】


東京都清瀬市 ・11月撮影

 

冬の華

サザンカの花は、晩秋から初冬に咲く。日本の花暦では、キクとともに11月を代表する花に挙げられている。このころは、花の少ない時期だけに、サザンカの花は人目をひく。
私たちが日頃庭や公園などでよく見かけるのは、紅やピンク、ぼかしなどの入った園芸品種のことが多い。現在では、およそ300品種が知られているという。
一方、野生のサザンカは、純白の花を咲かせ、四国、九州、沖縄などの暖地の山中に見られる。佐賀県東部の背振山は、サザンカの北限自生地として知られ、国の天然記念物に指定されている。また、熊本県の金峰山にも自生しているという。
同じなかまで、早春から花を咲かせるツバキは、古く中国から渡来した花木だが、サザンカは日本固有の樹木である。それなのに、サザンカは日本の古典文学にはほとんど顔を出さない。都から遠く離れた山の中で、ひっそりと純白の美しさを守り続けてきたのだろう。そして、散るときもツバキとは違って花びらが1枚ずつ離れる。木枯しの吹き始める山道には、純白の花びらが散り敷かれていくのだろう。

(2001.11.27更新)

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