ヤツデ 【 八手 】


東京都東大和市 ・11月10日撮影

本当に“八つ手”か?

秋も深まる11月になると、庭先などでヤツデの花が咲き始める。花とはいっても、小さな白い花が集まって、丸い穂のようになっているだけで、特に人目をひくというわけでもないのかもしれない。でも、ヤツデにはどことなく親しみと懐しさがある。天狗の団扇にそっくりな葉を持って走りまわったり、実を鉄砲の玉やままごとに使ったりと、幼い日の思い出につながる人も少なくないだろう。
ヤツデという名前は、葉が八本の指を広げた掌のような形をしているところから、“八つ手”と付いたのだという。だが、その名の通りヤツデの葉は本当に八つに分かれているのだろうか…。今度ヤツデを見かけたら、試しに数えてみよう。意外なことが発見できるかもしれない。
その時、小さな花も忘れずに見てみよう。ヤツデは、一つの花の性が変わる植物である。植物には時々あることで、それほど珍しいことではない。咲きはじめは花びらとおしべがある雄の時期、4〜5日たつとおしべが落ちて中性の時期、さらに数日たつと、花びらもなくなりめしべが成熱する雌の時期になる。あちこちの花を見比べると、三つの時期の花が見つけられて楽しい。写真では、丸い穂のようになっているのが雄の時期で、実のような粒々が集まっているのが雌の時期である。
福島県以南に分布。

(2001.11.15更新)

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