アシの枯れ穂【 葦 】


長野県北安曇郡 木崎湖畔 ・12月撮影

冬の水辺に趣をそえる

アシとヨシのどちらが正しい植物名ですかと、ときどき聞かれることがある。そのときは、「人間は考えるヨシである」とは言わないですよね、と答えることにしている。すると、日除けのよしずはヨシの茎で作るんですよね、「葦(よし)の髄から天井をのぞく」といいますよね、とやり返してくる人もいる。しまいには、ヨシとアシは別の植物ですか、なんて聞かれたりもする。もちろんアシとヨシは同一植物である。植物図鑑の中には、ヨシを植物名として採用しているものもあるが、元々はアシと呼ばれていたものが、「悪し」に通ずるのを嫌って、その対語の「良し」と呼ぶようになったのだという。『古事記』では、日本は「豊葦原の水穂の国」と美称されている。これは、やはり「とよあしはら」と読むのだろうと思う。
アシは水辺や湿地に群生し、夏には一面の緑、秋には銀色の穂を波打たせる。冬になれば細長い葉は枯れ落ちるが、茎と穂はいつまでも残り、水辺の雪原に趣をそえる。

(2001.12.14更新)

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