サルスベリ 【百日紅】


東京都 神代植物公園・12月撮影

枝ぶりが来歴を語る

師も走り回るという師走は、どことなくせわしない。しかし、1年を振り返るのはこの月をおいてほかにないだろう。ましてや、20世紀も今年でおしまい。
忙中に閑を求め、身近な公園や野を歩く。木々はすっかり葉を落とし、枝ぶりが目をひく。枝分かれのようすと回数から、その木のおよその年齢を読み取ることのできる人がいるという。でも、自然の風雪で折れ落ちることは当たり前だろうし、刈り込まれることだってあるだろうに。まあ、それだからこそ、枝ぶりはその木の来歴であり、物語でもあるのだろう。

サルスベリの太い幹はくねくねと曲がっていて味わいがあるが、若い枝先はまっすぐに伸びている。いったいどこまでひねくれ曲がれば気がすむのだろう。でも、この木、年を重ねて曲がりくねった太い幹ほどすべすべしているからおもしろい。
猿も木から落ちるというこの木の枝ぶりには、来し方を振り返りたくなるような魅力がある。

         (2000.12.21)

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