オンシジウム (洋蘭)

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静岡県西伊豆町堂ヶ島・2月12日撮影

黄色い人形たち

黄色いロングスカートに赤いベストの可愛らしい人形たちが、両腕を広げていっせいにこちらに走り寄ってくる。いったいどうしたというのだろう。
洋ランのオンシジウム属の一品種。花は小さめだが、鮮やかな黄色の花をたくさんつけ、ひとつひとつの形が小さな人形のように見えて可愛らしい。
この堂ヶ島が、父との最後の旅行になってしまった。でも、このときは大傑作な出来事があった。父と子、男ばかりの4人の1泊旅行だったが、ホテルに着き、旅行代理店の宿泊チケットのようなものを出したところ、なにやらホテルマンがオロオロ、モタモタしてるばかりで、なかなかチェックインしてくれない。事務所の中がざわざわしているのがこちらにもわかる。どうやら様子がおかしいのである。さんざん待たされたあげく、丁重に「ご予約いただいておりませんが…」と、きた。「なぬ! そんなバカな!」申し込みをした本人の兄貴がチケット見せながら、まず小ギレした。代理店の担当者と電話がつながらないため、ああダ、こうダ、すったもんだしているとき、ついに親父がキレた。80を超した爺さんが、カウンターごしに啖呵を切ってしまったのである。小気味いいほどのド迫力で、ホテルの広いロビーまでシーンと凍りついた。父親というものは、息子の前ではつい、いい格好してしまうのかも知れない。でも、その後の何となく気まずいこと…、でも、親父ときたら平気の平左で、たばこぷかぷかやりながら、「はやく温泉つかって酒飲みてえなあ〜」なんて言ってる。
結局、1時間以上待たされて、なんのことはない、代理店の実に御粗末な致命的な凡ミス。チケットだけ作ってホテルに申し込みしてなかったと判明。いやはや、そんなことってあるんだ。でも、あいにくこのホテル、その日は満室で、実に迅速かつ丁寧に、いや、はやく追っ払いたくてしょうがなかったのだろう、代わりのホテルを用意してくれた。そこは隣のホテルで、海岸の夫婦岩も見えるには見えたが、どことなく薄ぼけていて、明らかに2ランクぐらい下。部屋に入ってさっそく憂さ晴らしにビールをガンガン飲んで、喰いたいもの喰って、もちろんお代はすべて旅行代理店持ちだったことは言うまでもない。親父も、最後にへんてこりんな思い出を残してくれたものだ。

(2003.1.31更新) 

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