木々の影
長野県北安曇郡 青木湖 ・3月13日撮影
流れる影
なだらかな雪の斜面に
森の木々の影が長く伸びている
冬の傾いた日射しは
木々の秘密を映しだす木々は垂直的世界に生きている
そこから決して逃れられない
だから、秘かに水平的な世界にあこがれている
大いなるこの天体の重力から解き放たれ
水平的世界に自己を解き放ってみたいと
いま、冬の傾いた日射しは
木々の影に自由を与えた
「そら、お行き」と言っている
影は流れるように伸びていく
たおやかに、なまめかしいほどにどこまでも伸びていく
影は見事なまでに実体を裏切っている
それは、もはや美しいとさえいえるしかし、影はいつ気がつくのだろうか
やはり、低きに流れているのだということを
垂直の支配から逃れられてはいないことを冬の森では、日没まで、それは許されているのだろう
(2003.1.23更新)