ジャノメエリカ【 蛇の目エリカ 】

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東京都多摩市 1月・撮影

地中海の風よ

まだ,そのころ,世界は幸せな幻想で形づくられていた。
幻想は強固だから,青年は信じるということを疑うことがなかった。
「エリカの花散るとき」,昭和38年。
まだ少年の面影を残した青年の目は輝き,人生は約束されていたはずだ。
誰もが疑うことを知らなかったのだから。
たとえ貧しくても,たとえ愚かでも,たとえ不幸であっても,人はみな幸せだった。
世界がまだ美しい幻想で形づくられていたから。

(2005.2.7更新)

 

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