ハナナ 【 花菜 】

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千葉県富津市 マザー牧場 2月・撮影

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1つの花

春の匂い

いまでも、菜の花の甘い香りをかぐと、とても懐かしい気持ちになる。視覚より、臭覚のほうがはるかに深く記憶を呼び覚まし、思い出に浸らせてくれるような気がする。だが、少年のころの、菜の花畑のあの甘い匂いは、むせかえるようで、どこか女の人の化粧の匂いだったのような気がする。それは、もしかしたら、母の匂いか…。記憶と隠喩は歳月の中で複雑に絡み合い、互いを巧妙にあざむいている。だから、欺きにだまされてはいけないとずっと心に決めてきた。だが、欺きは馴れ合うように甘美である。そのほうがむしろ真実に近いのかもしれないと、真実思えてくるから不思議である。

(2004.3.1更新)

 

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