阿蘇山


熊本県 阿蘇山 4月27日・撮影



熊本県 阿蘇山 草千里浜 4月27日・撮影

上の写真は阿蘇山の中央火口丘。右の噴煙を上げているのが中岳の第1火口で,現在もたびたび噴火している。写真中央の建物が小さく見えるあたりがロープウェイの火口西駅で最も観光客が集まる所。火口と噴煙が間近に見られ,時々異様な臭いが漂ってくる。このくさい臭いのガスが今話題の有毒の硫化水素(H2S)である。密度は空気よりやや重いから,下にたまる。だから火山の登山では,風のない日は窪地は要注意なのである。硫黄自体には臭いはない。火口付近に出ている露天の土産物店には,鮮やかな黄色の硫黄らしき物がビニール袋に入れてたくさん売られていた。アレは何のために売っているのだろう。“幸せの黄色い○○”の類なのだろうか。でも,鉄粉と混ぜてから加熱してたり,水を加えて練って団子にすれば,硫化鉄ができるから,それに塩酸を含むトイレ用洗剤をかけたら,それこそ大変なことになるのだろうに…。(このくらい書くと,もう削除されてしまうのだろうか?)でも,現在中学校の理科では,鉄と硫黄を化合させて硫化鉄をつくり,それに塩酸をたらして硫化水素を発生させ,ご丁寧にその気体の臭いまでかがせる実験を行っている。もちろん文部科学省検定済の教科書にちゃんと書かれ,全員がきちんとお勉強しているはずなのである。ここまで騒ぎが大きくなると,いったいどうするのだろう…。
さて,この登山のときは,仙酔峡からロープウェイで火口東駅まで上がり,中岳,高岳を登り,ぐるりと砂千里を回り,火口西駅に至った。下りはロープウェイ代とバス代をケチって,ひとりとぼとぼと草千里浜まで歩いてしまった。そんな山旅をしてみたかったのだ。でも,歩いた分だけキスミレなど花の写真の収穫があった。

下の草千里浜の写真は,三好達治の詩「大阿蘇」のイメージが頭の中にこびりついているので,どうしてもそのパターンで撮ってしまったものだ。雨は粛々と降ってゐないし,馬はじっと立ってゐるだけではなく,けっこうパカパカ走っているし,近づいていくと少しずつ遠のいていく。そもそも放牧の馬ではなく,さっきまで観光用の乗馬に使われていたものが,夕方になって観光客も少なくなり,営業時間が終わったのだろう,さあ今日のお仕事は終わりだよ,と放たれたばかりだったのだ。そんな一部始終を見ていたので,詩にある「もしも百年が この一瞬の間にたつたとしても 何の不思議もないだらう」というイメージにはほど遠かった。
そんなわけでというか,写真は正直なもので,ちょっと明るく軽い感じになってしまった。だから少し暗くし,コントラストもつけてみた。デジタル写真は,画像調整で全体の雰囲気はかなり変えられるというので,いろいろいじってはみたが,やはり春の夕方の穏やかでのんびりした雰囲気は,そう容易には変えられなかった。たぶん今度は,撮ったときのイメージというか記憶がじゃまをして,思い切って雰囲気を変えることができなくなってしまったのかもしれない。
(2008.4.27,28,29,30更新)


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