アヤメ【 文目 】

山梨県櫛形山 ・7月14日撮影

野趣ある網目模様

山梨県南部の櫛形山(標高2052m)の頂上付近には、アヤメの大群落がある。それは見事なもので、7月の初旬に訪ねれば、あたり一面にアヤメの花が咲き乱れている。
アヤメはもちろん野生の植物で、野山や高原に多い。水辺などの湿地でよく見かけるのは、カキツバタやハナショウブのほうで、アヤメは必ずしも湿地が好きとは限らない。

“いずれアヤメかカキツバタ”とは、美人比べのたとえだが、どちらの花もいずれ劣らぬ美しさで、甲乙つけがたい。こういう場合は、両者を立てて、明言を避けるの無難というものだろう。
でも、花弁(外花被)に精巧な網目模様が織りこまれているアヤメには、深い紺色とあいまって野趣があり、私としては好みのような気がしている。…でも、カキツバタの古風で洗練された紫に一筆流れたような黄色い斑紋も、これまた、ゾクッとするくらいに美しい。おいおい、いったいどっちなんだい。

ところで、アヤメ、カキツバタ、ノハナショウブ(花菖蒲)の区別は、葉で見分けるとわかりやすい。
葉の中央に縦に走る葉脈が出っぱっているのがノハナショウブ。
葉の幅が広くて、葉脈が出っぱっていないのがカキツバタ。
アヤメは花に網目模様があるからそれだけでわかるが、葉は狭くて葉脈は出っぱっていない。
花だけでなく、葉も見てみよう。いや、さわってみよう。

(2001.5.28更新)

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