キンラン【 金蘭 】


山梨県南巨摩郡 ・5月15日撮影

 

進化の頂点“金さん”

今日5月17日、桜前線が北海道の稚内に到達したそうだ。北海道のサクラは、ソメイヨシノではなくエゾヤマザクラという種類だが、沖縄で1月にヒカンザクラが咲いてから、5か月近い。3月末に鹿児島でソメイヨシノが開花してからでも、1か月半以上を要している。サクラの花は日本列島を延々と北上した。そのサクラの花を追うような旅がしてみたいものだと、長年思ってきたが、果たしてどうなることやら…。

5月、若葉が伸びはじめた雑木林では、木洩れ陽が射しこむと、林の中は空気まで緑色に染まりそうな気がする。そんな新緑の林の中で、野生ランのキンランは黄色の花を咲かせる。草丈は30〜50cm, 花は1.5cmぐらいで、完全には開かないことが多い。よく似たランに、いぶし銀のような白い花を咲かせるギンランがある。晩春から初夏の林に咲く“金さん” “銀さん”である。
ところで、 ランは進化の頂点をきわめた植物といわれている。子孫繁栄のための絶妙な花のしくみや、生命を維持するための逞しい環境への適応など、長い変遷の歴史の中で、“永久的繁栄”ともいえるような進化の証しを身につけてきたという。しかし、この写真を撮った山の雑木林は、いまでは下草さえ生えない一面の杉林である。

(2001.5.17更新)

表紙・Topへ(最新/New)    バックナンバー 花手帖1(1月〜6月の花)  花手帖2(7月〜12月の花)

inserted by FC2 system