サンカヨウ 【 山荷葉 】
長野県栂池自然園 7月上旬・撮影
深山に純白の花
街で初夏の声を聞くころ、高い山ではやっと春が訪れる。山地や亜高山帯の林の中で雪が消えると、サンカヨウはすぐさま芽を出し、みるみるうちに茎を伸ばす。爽やかな風が山を渡り、ギザギザのある葉を大きく広げると、あっという間に白い6弁花を咲かせる。高山の花は、確かに季節を急いでいる。花の大きさは直径2cmくらいだが、いくつもの花が四方八方を向いて開くので、どちらから見ても美しい。雌しべの緑色と雄しべの黄色は、むしろ花びらの純白を引き立てている。夏の終わりころには、これまたいちはやく濃いコバルト色の楕円形の実をつけ、こちらもきれいな色合いで見逃せない。花期は5〜7月。メギ科、サンカヨウ属。名の「荷(か)」とは、蓮のことだそうです。
(2004.6.2更新)
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