エゾアジサイ 【 蝦夷紫陽花 】

 
長野県北安曇郡小谷村 白馬乗鞍岳山麓・8月4日撮影

 

静寂の山ふところで

園芸植物のアジサイの原種は、日本の海岸地方に生えているガクアジサイだという。山には花の形がよく似たヤマアジサイがあり、さらに、東北や中部地方の日本海側の山にはエゾアジサイが分布している。エゾアジサイは、林の縁などで見られ、6月から8月ごろ、小さな花の集まりのまわりに、がくの変化した青紫色の飾り花をつける。
初夏の真昼は、草木の緑があふれ、森全体が無言の光合成を続けている。ヒトは科学の粋を集めても、水と二酸化炭素と太陽の光から、いまだ生命の糧を作り出せない。それゆえか、緑の横溢する静寂の山ふところでは、深い青紫色と、造化の妙はひときわ引き立って見える。ここでは、生はすでに完璧に満ち足り、花はもはや生きることを超えたところで咲いているような気がしてならない。

(2001.6.26更新)

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