ノアザミ と ヒョウモンチョウ
       【 豹紋蝶 】

 

山梨県南巨摩郡・6月14日撮影

 

夢中の吸蜜

初夏の野山や高原では、ヒョウモンチョウの仲間によく出会う。オレンジ色のはねに、いかにも動物の豹を思わせる黒や茶色の紋があり、すばやく飛ぶ。
写真のヒョウモンチョウは、ウラギンヒョウモンという種で、この仲間の中では高原などで最も普通に見られる。はねの裏側(写真では手前側)の銀紋が特徴で、初夏のノアザミの花によく集まる。
以前はチョウの写真をよく撮った。でも、最近では、地に足をつけて生きている人間としては、自由に飛び回るチョウを追いかけまわすのは、いささかしんどい。体力も、手持ちもピントも怪しくなってきた。まあ、徒労に終わることのほうが多い。だから、あまり追いかけない。待つほうが楽になってきた。
この写真を撮ったときは、6月の草いきれの中、いつまでもノアザミの花の前で、ただ待ったというか、ボケーとしていた。確実に1枚をものにしたかったら、結局はそれがいちばんの近道のようだ。
このチョウは花に止まって吸蜜を始めると、まるで自由を奪われたように夢中になる。はねをゆっくりと開閉して動かしてはいるが、不思議なくらいに、そう簡単には逃げ去らない。
このときは、決してあわてず、ゆっくり少しずつチョウに直進して近づき、1枚ずつシャッターを切っていく。横移動や、チョウに影をおとすのは禁物、まず逃げられてしまう。それは外敵の接近を知らせる危険信号なのだろう。
ところで、この写真のチョウのあしを見ていただきたい。あしが4本しかない。昆虫のあしは6本と習ったはずなのだが…。では、取れてしまったのだろうか? いや、そうではない。ヒョウモンチョウなどのタテハチョウの仲間には、4本あしのチョウが多く、だいたいこんな姿で止まっている。というのは、前の2本のあしは退化して小さくなり、折りたたまれているのだそうだ。

(2001.6.30更新)

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