ノアザミ【野薊】

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 山梨県南巨摩郡・6月撮影

触れないで

初夏の野山の草むらは、 雨が降ればしっとりと濡れて緑が鮮やかに映える。晴れれば真夏のような陽射しと草いきれがたちこめ、草木はまるで音を立てて育っているかのように感じられる。そして風が渡ってくると、爽やかなひとときが、そのまま時を止めるのではないかとさえ思える。

アザミは秋に花の咲くものが多いが、このノアザミは春から夏にかけて花が咲く。5月ころには平地の草むらで見られ、茎はあまり高く伸びない。8月ころになると高原によく咲いていて、写真のように茎がひょろひょろ伸びている。光沢のある深い緑色の葉と渋い赤紫色の花は、野山の草地や高原に美しい配色をほどこす。

先日、九州の人から、大分県の万年山(はねやま)で白いアザミを見ましたと教えていただいた。江戸時代にはアザミの花の園芸品種が数多くあったというから、肥後の国をはじめ、園芸植物の改良がさかんだった九州の地では、なんとなくうなずける。

しかし、このノアザミ、葉の先の鋭い刺と花の元のいつまでも手に残るねばねばは、なんと理解すればよいのだろう。花言葉は“触れないで”。

   (2000.6.25)

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