ヒマワリ【 向日葵 】





東京都東大和市 8月・撮影



真夏の真昼
焼けつくような日射しが照りつけ
人も動物も草も木も,路傍の石までも,暑さにうだっていた
わたしはヒマワリの花を見ていた
暑さにまいって,うんざりし,すべてに投げやりになっていた
それはまるでいまのように
そして,いたずらにポケットの中の小銭を数えていた
ふらふらと歩き,水道の蛇口から,生ぬるい水をがぶ飲みした
見上げたとき,天地が逆転した視界の中で,ハッとした
ヒマワリの花がこちらを見ていた
ヒマワリの花には目も鼻も口もないのに,ちゃんと人の顔をしていた。
いまにも話しかけてきそうな顔をしてこちらを見ていた
わたしが話しだせば,すぐにでもたいがいのことは通じるような顔をしていた
ヒマワリは人と話ができる数少ない花だ
でも,気軽に話しかけてはいけない
軽率に話し出してはいけない
それはまるであのときのように
むしろ,黙って,言葉のないバツの悪さを味わうほうが,どれほど幸せかしれない
そもそも,真夏におしゃべりは似合わない

ヒマワリは元気に太陽を見つめ返している

しばらく,このHPを休みます。では,
(2006.8.1更新)

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