フサフジウツギ 【 房藤空木 】

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長野県南信濃村易老渡 8月22日・撮影


安住の地を得て

山奥で、帰化植物や逃げ出した栽培植物が繁茂している姿を見かけると、一瞬驚くと同時に、なんとなく奇妙な感じにおそわれることがある。
このフサフジウツギを長野県の南信濃村で見たときもそうだった。かなり山深い川原や川岸の崖のようなところで、群落をなし、鮮やかな赤紫色の花が一面に咲いていた。
はじめは、いったい何の花か全然わからなかった。日本に自生しているフジウツギにしては、花の色が鮮やかすぎるし、花の房もあきらかに大きい。たぶん同じなかまの帰化植物であろうことは想像できたが、まさかフサフジウツギが南アルプスのこんなに山深い所に安住の地を得たとは、とても信じられなかった。しかも、草ではなく、高さが2mくらいにもなる木がである。
きっと、逃げて逃げて逃げまくってこの地に到ったのだろう。いや、どこに連れていかれるとも知らぬまま、運ばれて運ばれてときには追いすがって、ついにここまで来てしまったのだろうか。でも、もう、ここまで来ればだれも追いかけてはこない。さまざまな過去もしがらみもここまで来ることはできない。のびのびと咲いた鮮やかな赤紫色の花がそれを物語っているかのようだった。
フサフジウツギは、中国原産の落葉低木。花は白、赤、紫などいろいろの園芸種があり、まとめてブッドレアの名で呼ばれている。花期は7〜9月ころ。

2003.9.10更新
 

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