2018年 沖縄離島の旅 南大東島・北大東島

遂に、“絶海の孤島”といわれる南大東島、北大東島へ行った。もちろん那覇から船(フェリー)で。
沖縄本島から東へおよそ400km、太平洋上にポツンと浮かぶこの島は、まさに離島中の離島であった。

出港那覇泊港夕方17:00



沖縄県那覇市泊港 2018年11月20日・撮影

大東海運の貨客船「だいとう」は690トン、旅客定員55名。フェリーとしては小さい。写真右側のクレーンが写っている桟橋から出港した。
日によっては別の那覇新港埠頭(タクシーで10分ほど)から出港する場合もあるので注意が必要。
2段寝台が指定され、寝て行ける。だが、外洋だから揺れる揺れる。今回はちゃんと船酔い止めの薬を乗船30分前に飲んだ。
所要時間は15時間。運賃は片道5690円。往復10820円。週に1便か2便があり、月に4〜5回、那覇と南大東島・北大東島の間を1隻で往復している。
でも、冬場や台風シーズンには強い季節風や時化で、出港の延期や欠航が相次ぎ、運航スケジュールはあって無きがごとし。当てにならない。だから、ふつうの人は飛行機を使うのだろう。物好きな観光客と車や建築資材、生活物資の運搬を主に担っているのだろう。
右奥の高いビルが、離島へ渡る人々で賑わう那覇港旅客ターミナルビルの「とまりん」。


ゴンドラでの下船北大東島西港朝8:00着



沖縄県島尻郡北大東村  2018年11月21日・撮影

この日の運航スケジュールは、南大東島先航だったが、天候や波の関係で、北大東島先航に変更になっていた。どちらの島に先に立ち寄るかだけのことのようにも見えるが、いろいろ難しい問題があるのだろう。まあ、こういう変更はごく当たり前に日常的にあるそうだ。)
その場合、最悪、南大東島には入港(接岸)できず、そのまま那覇に戻ることもありえると、乗船券を買うときにさんざん聞かされていた。いくらなんでもそれは困るから、私は荷物をまとめ、直前まで北大東島で下船するつもりだった。
だが、デッキには、のんびり構えて下船する様子のない人が数名いるではないか…。ヌヌッ? この人たちは? どういうこと? この船は南大東島にも入港するのか? 南大東島で人は降りられるのか? そんな一番大事なことが分かっていないで来ているのだから、我ながら先が思いやられる。
 




入港南大東島 西港昼11:00着(予定では10:00着)



沖縄県島尻郡南大東村  2018年11月21日・
撮影

(船を岸壁に近づけている。)



下船、ゴンドラに乗る【 南大東島 西港



沖縄県島尻郡南大東村 2018年11月21日・撮影

南大東島で下船する乗客はたった6人だった。有名なゴンドラ下船も別にどうっていうことはなかった。
一瞬の出来事だった。高低差もそれほどなく、時間も15秒?くらいだったかな。でもやっぱ楽しかったな、おもしろかったなあ。長年の夢はかなった。





民宿南大東島



沖縄県島尻郡南大東村 2018年11月21日・撮影

事前に3泊は予約しておいた。だが、まさかここに連続6泊することになるとは思いもよらなかった。
素泊まり1泊2500〜、3泊目から2000円。この3泊目からのお値段が魅惑的なのです。もちろん個室でテレビ付き。無料の自炊設備、冷蔵庫、シャワー、洗濯機、蚊取り線香あり。
たぶん南大東島で、一番安い宿だろうと思う。歩いて行ける範囲内に、商店やスーパー、食堂や居酒屋、スナック、カラオケ、ゲームセンター、郵便局もある。
宿の男性が車で港まで迎えに来てくれた。部屋に案内されると、後で係の女の人が来るから、まあ“きらく”にやってください。と、ダジャレを言ったので、オイラも「サブッ、南大東島も…」と受けてやると、双方で笑い合った。でも、それだけだった。
携帯で延泊の連絡をしたりはしたが、係の女の人も、男性もついぞ来なかった。
完全に放し飼い状態だった。いや、長期滞在らしいおバアが1人、なにげなくオイラを監視しているようにも見えた。シーズンオフだからガラガラかと思ったら、あにはからんや、ほぼいっぱいだった。泊まっているのは工事の人や業者のようだった。でも、ここは静かだった。夜、寝泊まりに帰ってくるだけのようだった。
まあ、オイラは近くのホテルのレンタサイクルを借りて、毎日ひたすら島内をすみからすみまでめぐっていたのである。



バリバリ岩【 最奥部南大東島



沖縄県島尻郡南大東村 2018年11月22日・撮影

長い間に地殻変動で岩が裂けてできたのだという。人がやっと1人通れるくらいの狭い所や、トンネル状の場所もあり、何かあったらかなり危ない。
上の方には、いわゆる「落ちない岩」が随所に挟まっている。
最奥部は拝所のような感じになっていて、異様な霊気が漂っていた。気味悪くなって、サッサと出てきた。
(後で知ったことだが、大東島はプレートの境目より東側にあり、フィリピン海プレートの上に乗っかっているので、ほとんど地震というものがないのだそうだ。)





日の丸山展望台【 標高75m南大東島



沖縄県島尻郡南大東村  2018年11月22日・撮影

島で標高が最も高い場所で、360°の展望がある。だが、海はほとんど見えない。
それは島の周辺に小高い帯状の崖が続き、島を取り巻いているからである。)




整備された圃場【 苗を植えた畑
南大東島




沖縄県島尻郡南大東村  2018年11月22日・撮影

まるで北海道の富良野や美瑛のようにきれいに耕され、雑草ひとつ生えていない畑。きれいすぎてチョット怪しい?)



海軍棒プール南大東島 東海岸



沖縄県島尻郡南大東村 東海岸  2018年11月22日・撮影

(砂浜や遠浅の海岸がないので、岩場をくり抜いて作った海水プール。
海軍棒とは海軍が測量をしたときの棒が立っているからだそうだが、見落としてしまった。)




オヒルギ群落南大東島 大池



沖縄県島尻郡南大東村 大池 
 2018年11月25日・撮影

(大池は淡水湖になっている。陸地封鎖型のマングローブで、珍しいそうだ。)



島内一周駅伝大会【 スタート
南大東島



沖縄県島尻郡南大東村 2018年11月23日・撮影

遊びじゃない。本気度100%で、気合いが入っていた。名誉と賞品?がかかっている雰囲気だった。
実際は1チーム7人で2周するそうだ。島1周は約20km。
スタートは村の中心街のJA、Aコープ前。大勢の人が集まっていて、特に若者と子供が多いのは意外で、おどろいた。ここには元気なガキがまだいっぱいて、ふざけ合い、暴れ回っていた。
島の人口は平成29年の住民基本台帳によれば1277人、655世帯である





星野洞【 幕状鍾乳石南大東島



沖縄県島尻郡南大東村 2018年11月24日・
撮影



ひょうたん池南大東島



沖縄県島尻郡南大東村 2018年11月24日・撮影

島の中央部には大小の池がたくさんある。島はドーナッツ形の環状サンゴ礁(環礁)が長い間に隆起してできたそうだ。中央部のくぼんだところには雨水などがたまり、サンゴ礁の主成分は石灰岩だから、水に溶けて鍾乳洞や池沼をつくったのだという。



ティラピア【 体長約10cm 南大東島



沖縄県島尻郡南大東村ひょうたん池 2018年11月24日・
撮影

かつて食料にするため池に放したそうで、今では増え、パンなどのえさを投げると群れをなして集まってきた。どんな魚か、試しに釣ってみた。竿なしの糸と針とおもりだけだったが、ビールのつまみにと持ってきたチーズを丸めてえさにしてみたら、もう入れ食い状態だった。
かなり大きな魚影も見えたが、島の人は池の魚を食べないそうだ。まあ、当たり前だろうな。海に出れば、でっかいマグロやサワラが獲れるんだから。




南大東漁港




沖縄県島尻郡南大東村 2018年11月25日
撮影


とにかく巨大。立派なものだ。これでまだ完成(完了)ではないのだそうだ。
日本唯一の岩盤堀込み式漁港だそうで、これと同じ規模の漁港が北大東島にもある。そちらはもう完成している。
南大東漁港は平成元年に工事が始まり、総工費300億円だという。ウーン。島内の漁船は約40隻。といっても漁業従事者は専業約10人、兼業も含めて約40人だそうだ。その割にはあまりにも漁船が停泊していない。
10年後、20年後にどうなっているのか楽しみだ。まあ、その時オイラはこの世にいないのだから、どうでもいいことか。そんな捨て台詞のひとつも言ってみたくなるような漁港だった。
左奥に見えるのが北大東島。



シュガートレイン【 ふるさと文化センター 南大東島



沖縄県島尻郡南大東村 2018年11月25日撮影


線路跡



沖縄県島尻郡南大東村 2018年11月27日撮影


島内にはかつて鉄道が敷かれていた。最盛期には総延長は30kmに及んだという。サトウキビを運ぶトロッコ列車というか軽便鉄道だが、歴とした蒸気機関車で、後にはディーゼルも走り、人も乗せていたらしい。昭和58年(1983)まで動いていたそうだ。
今も所々に鉄路が残っているが、往時の面影はない。



大東神社南大東島



沖縄県島尻郡南大東村 2018年11月25日・撮影



明治18年にはじめて日本国標が建てられ、明治33年(1900)に開拓が始まった。そもそも無人島だったのである。
はじめに開拓者として入植したのは伊豆諸島の八丈島の人たちだった。そのためか今も神社がある。
毎年9月にはここで祭が行われ、相撲が奉納されるそうだ。
八丈島と沖縄の文化がミックスしているという。




飲食店のある通り南大東島



沖縄県島尻郡南大東村 2018年11月22日・撮影



さびれているように見えるが、小さい島のわりには食堂や居酒屋、スナックなどの飲食店が多いような気がした。最終日に夕飯のつもりで1軒だけ入ってみたが、いつの間にやら人が増え、どこからともなく女の子が来ていて、店の手伝いや客の相手をしていた。そして夜が更けるほどにスゴイ盛り上がりだった。ボトルのキープが泡盛の一升瓶というのにも驚いた。いずれも工事関係の人のようだった。




* 27日入港予定のフェリーは、時化のため欠航。船は遂に来なかった



琉球エアー・コミューター ボンバルディア「DHC8-Q400CC」 南大東空港から北大東島へ



沖縄県島尻郡南大東村 南大東空港 2018年11月27日・
撮影


船が来ないのだから、飛行機に乗るしかない。
ここまで来て北大東島に行かずに那覇に帰るのは、やはりできない。
次の船が来るまでさらに5〜8日ここで待つのも、いくらなんでも無理だろう。
しょうがない。思い切って腹切って、急遽飛行機で北大東島に渡ることにした。
南大東島から北大東島は距離にして13km、飛行時間15分(実際は13分だった)、運賃は8500円。ちなみに船なら850円。イタイー!






(北大東島にて…)




ダイトウビロウ【 大東蒲葵



沖縄県島尻郡北大東村 中野ビロウ林 2018年11月29日・撮影


南大東島と北大東島の固有種で、どこにでも生えていたのだろうが、今ではもうあまりたくさんは見かけない。開拓、開墾によって伐採され、材木として使われたのである。
北大東島は可能なほぼすべての土地が圃場(畑)に整備されたという。ほったらかしで草ボウボウの休耕地や耕作放棄地などひとつもない。ホント。
島は、もちろんご多分にもれず、人口は減少しているし、高齢化も進んでいる。でも、若者も入り込んで来ているのだという。どういうことなのか、どうも理解しがたいが、事実なのだという。一時的な現象なのか、何かおいしい仕掛けというか、裏があるのだろうか。いや勘ぐりすぎはよくない。
最近は、“田舎へ行って一旗揚げよう”という若者が増えてきているのだそうだから。不便なところのほうがかえって稼ぎやすく、住みやすいと感じる人がいて、実際暮らしやすいのかも知れない。真面目で優等生的なまともな発想ではもうどうにもならないのが現代という時代らしいから、分からないでもないが…。
とりあえず「限界集落」ならぬ「限界離島」への危機からは免れているようだが、島中の圃場整備が終わり、巨大漁港も完成し、これから大物公共事業もそうは考えられないような気もするのだが、果たしてどうなるのだろう。いや、島はもうすでに富んでしまっているのかも知れない。いや、富はすでに流失し始めているのかも知れない。
まあ、通りすがりの2泊3日の観光老人が心配することではないだろうが、なんとなく不安がよぎるのである。
ちなみに北大東島の面積は約13km
2、人口は約600人だそうだ。規模は南大東島のおよそ3分の1だという。

蛇足になるが、大東諸島には、南大東島のはるか南方150kmに沖大東島(ラサ島)がある。全島が企業の私有地で無人島だが、行政区域は北大東村であり、現在、米軍の射爆撃場になっている。もちろん村長も総理大臣もまだ上陸できていないと思う。もしかしたら地主も…。



トックリキワタ【 トボロジ 南米桜



沖縄県島尻郡北大東村 村立幼稚園正門横 2018年11月29日・撮影



琉球エアー・コミューターRAC 北大東空港から那覇へ



沖縄県島尻郡北大東村 北大東空港 2018年11月29日・
撮影

もちろん帰りも飛行機となった。船(フェリー)はまったく当てにならなかった。
電話での前日購入は、北大東空港から那覇まで、25,600
円だった。ワォッー!(^o^)




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