ゲンノショウコの葉 【 現ノ証拠 】
山梨県南巨摩郡 ・12月撮影
燃える草もみじ
初冬の野原は枯れつくされていた。そのなかで、ゲンノショウコの葉だけが真っ赤に色づいている。こういうのを草もみじというんだな……。
燃えるような真紅の葉は、青々と茂ったあのころの緑の葉とはまるで別人のようだ。ここでは、終わろうとする短い命と、始まろうとする永い死がせめぎ合い、その両方が見え隠れする。自然はいつもその両者をおおらかに抱えこんでいる。ゲンノショウコの葉は、色を失いながらもあわよくば越冬する。わずかな可能性と、かすかな希望は残されている。それを知っているからか、季節の終わりの色はあまりにも鮮やかで、悲しさをみじんも感じさせない。
くり返される季節のなかで、小さな野の草が一瞬沈黙し、輝くときである。(2002.12.6更新)