長野県北安曇郡・4月撮影
清楚に薄紫をあしらう
春の七草の最後に挙げられているすずな(菘)とはカブで、すずしろ(清白)とは大根のことである。なぜか、いずれも野草ではなく、野菜なのである。野菜だからといって、七草粥に根の部分を入れるわけではない。ダイコンもカブも若い緑の葉を刻んで入れる。ダイコンの根を入れたらそれこそ大根飯になってしまう。早春の農村を歩いていると、畑のすみや農家の勝手口近くに、保存用に植えかえられたものだろうか、ダイコンが茎を伸ばし、花を咲かせているのを見かけたりする。白い花が多いが、十字形の花弁のふちに薄紫色があしらわれているものもあり、意外なまでに清楚な美しさに、思わず目をうばわれてしまう。
(2002年1月19日更新)