ミズバショウ 【 水芭蕉 】 その3・尾瀬


 

群馬県片品村 尾瀬ヶ原 中田代下ノ大堀から至仏山を望む 6月2日・撮影




群馬県片品村 尾瀬ヶ原 中田代下ノ大堀から至仏山を望む 6月2日・撮影




福島県檜枝岐村 尾瀬沼 燧ヶ岳を望む 6月4日・撮影



尾瀬ヶ原のちょうど真ん中あたりの中田代にある下ノ大堀付近では,ミズバショウの大群落が見られ,正面に至仏山を望むので,ここは有名な撮影ポイントになっている。だが,木道の限られたスペースからの撮影になるので,だれが撮っても似たような写真になってしまう。それでも,ここはどうしても撮らずにいられない魅力的なビューポイントなのだ。絵はがき的とか,観光ポスターだとか,ちょっと古いがディスカバー・ジャパン(オカダ・ジャパンではない)だのといわれようが,いっこうにかまわない。とにかくここでは夢中になって撮りまくらなければいけないのだ。それが尾瀬への礼儀というものだ。尾瀬にミズバショウの写真を撮りに来たのだ!と,自分でそんな自分を確認し,自分を納得させる場所なのだ。どのように撮ってどんな写真にしようかとあれこれ小賢しいことを考えたり工夫したりすることなど,すでに絵になっている尾瀬の風景の前では無意味に等しい。今,尾瀬の尾瀬らしい風景をそのまま写真に写し撮っているだけで満足しなければいけない。それも尾瀬への礼儀というものだ。まあ,絵になるような風景ほど,写真にするのはかえって難しいというが,尾瀬の風景写真や山岳写真を撮り続けているカメラマンがよくいういわゆる“厄介な問題”の苦労の一端がわかるような気もした。
そもそも尾瀬は千変万化の生きた大自然でありながら,エコツアーなどといえば聞こえはいいが,あまりにも大勢の人が訪れ,あまりにも有名になり,どことなく名所旧跡や観光地のようになっているような感じがしないでもない。入山者数の多さ,混雑,山小屋の巨大化,トイレや廃水・ゴミ問題など,現実に見られる状況だけでなく,われわれが描きだすイメージとしての風景も,どことなく見慣れたありふれたものになってしまっているような気がする。わたしには,あの歌の文句にあるあこがれの「はるかな尾瀬」からはどことなく遠いような感じがするのだが…。
まあ,そういうオイラも,はじめて格安直通ツアーバスというものを利用して,観光地化している尾瀬の恩恵にあずかってみた。前日予約だったが1人だったからか,2社目で空席が取れた。往路は平日の夜行で新宿→鳩待峠が3500円,復路は大清水→新宿が2500円。中型バスだったので,座席が狭く,隣りの席の見知らぬ人と肘や太ももがぴったり触れ合ってしまう。(念のため,男女はシニアにして席を同じうセズ。)往路は夜行だから,発車10分後には消灯されてバスの中は暗く,カーテンも閉め切ってあるがほとんど眠れなかった(と思っている)。東松山ICあたりから,一般道の国道17号を走っているようだった。復路はすべて高速道路を使っていたから,速くて安くてとても便利だ。でも,山でのテント2泊はちょっと体に応えたな。写真のほうは3日で1200枚,撮り過ぎだって…。

ミズバショウ
(2009.6.5〜7更新)

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