ネムノキ 【 合歓木 】




東京都東大和市 6月下旬・撮影


合う歓び

夜になると,葉を合わせるように閉じて眠るので,その名がついたという。でも,夕方に咲き出した花は夜も開いている。花は繊細でありながらどこか妖艶。闇の中でもほのかに香る。花を特徴づけている紅色の糸のようなものは,おしべの花糸。
万葉集では,「ねぶ」と呼ぶ。高さ10mくらいにもなり,川岸や原野などの日当たりのよいやや湿った土地に自生する。枝を横に張り出し,樹形にも特徴があるので,すぐそれとわかる。

象潟や雨に西施がねぶの花  芭蕉 (『奥の細道』)

象潟(きさかた)は,芭蕉奥の細道の最北地点。なんとなく山形県かと思っていたが,秋田県南部だった。芭蕉は旧暦の3月27日に江戸を発ち,6月16日にここに至っている。西施(せいし)はもちろん中国の絶世の美女。
(2005.7.1更新)

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