ミヤマダイコンソウ 【 深山大根草 】
 
0811MIYAMADAIKONNSOU_6903.JPG - 84,751BYTES
 
長野県松本市 涸沢ヒュッテ付近 8月14日・撮影

このミヤマダイコンソウの花は,高山ではよく見かけるふつうの花だが,なかなかいい写真が撮れない。(それは腕が悪いからでは…とのツッコミは,ごもっともとは思いますが…,却下。)まあ,それというのは,花に比べて葉が大きすぎ,花茎が長くてしかもあっちこっちに伸びてまとまりがなく,たまにいい株を見つければすごく恐そうな岩場の上だったり,決定的なのは花びらが1枚落ちていて4枚になっていたりすることが多いからだ。その点,この株は登山道脇にちょうどいい具合に咲いていた。しかも背景には奥穂が見える。今日はあの奥穂高岳まで登るぞと意気込んでいた朝一番。さっそく地面に這いつくばって,ハアハア言いながら撮った。いまだバリアングルクリアビューもない,小さな液晶モニターが固定された一眼デジカメだし,まあ,液晶を見ようにも,老眼でまったく見えないのだ。だからはじめから液晶はスイッチを切ってある。ちゃんと節電して,ひたすら昔風にファインダーをのぞいて撮ることにしている。よくしたもので,カメラのファインダーの像は無限遠を見ているのと同じしくみになっているので,老眼でも視力さえよければ,ばっちり・ハッキリよく見えるのである。だから登山道に寝るというか,倒れるようにしてローアングルで撮っていた。だが,さっきからなんとなく後ろに人の気配がする。大丈夫,生きてますから…と言おうかと思ったが,山は静かが一番,余分なことはいっさい言わずに,どっこいしょと起き上がった。案の定カメラを持った人が横を向いて待っていた。わたしがよけると,花の前に,地面にくっつくくらいの超ローアングルで,バチバチバチ…と撮った。なんと,でっかいフルサイズ一眼の高〜いカメラ。ファインダーものぞかなければ,液晶画面さえ見ていないようだった。設定を変えたのか,画像を確認したのか,何となくカメラをちょこちょこといじってから,またバチバチバチ…。そんなことを2,3回くり返したら,そそくさと歩いていってしまった。朝の散歩風だった。顔は見なかったが,ああ,あの有名な山岳カメラマンかも知れないなと思った。プロはアマチュアの撮っていたものは意地でも撮らないって言うがな…なんて考えていたら,そのとき,前のほうから,「いつまで撮ってるのよ! はやく行くよ!」とデカイ声が飛んできた。

ミヤマダイコンソウ

(2011.8.21更新)
 
表紙・Topへ(最新/New)    バックナンバー 花手帖1(1月〜6月の花)  花手帖2(7月〜12月の花)
inserted by FC2 system