イロハカエデ 【 いろは楓

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東京都調布市野川公園・11月撮影

 

紅葉前線南下中

10月にはいると、紅葉前線が日本列島を北から南へと、そして山から里へと駆け下りてくる。春のサクラ前線とは逆の移動である。
カエデの紅葉は、北海道ではおよそ10月初旬に始まり、中部太平洋沿岸地域から九州南部では11月下旬となる。紅葉前線は、おもにイロハカエデの葉の紅葉が基準にされている。
この紅葉前線は、およそ50日かけて日本列島を縦断する。1日では約27キロほど進むことになる。また、山地では、標高が500 m低くなるごとに約10日遅くなるとよくいわれる。

イロハカエデは、東京や京都の近郊ではもっともよく見られるもみじで、葉はふつうは7裂していて、その葉を「いろはにほへと」と数えられるので、その名が付いたという。昔から京都の高雄山に多いことから、タカオモミジともいわれる。図鑑によっては、イロハモミジと呼んでいるものもあり、要するにもっともポピュラーなもみじなのに、名前はどうも統一されていないようで、ややっこしい。植物学の世界では、いまだにこんなことがあるんだ…。もっとも、専門家は学名を使うのだろうから、素人衆のイチャモンには耳も傾けないのだろうが…。分類は、もちろんカエデ科カエデ属の名称が付いている。
秋の深まりとともに、緑の葉が赤や黄色に姿まるとは、いかにも自然の妙である。晴天の日が続き、夜の気温が低い年は、紅葉が特に美しいといわれる。今年は台風が上陸したわりには、今のところ山の紅葉はきれいな年だと聞いている。
葉が赤くなるしくみは、気温の変化とともに、細胞中の糖分がアントシアンという赤い色素に変わるためだという。このとき、葉の葉緑素は分解されてなくなってしまう。また、イチョウのように葉が黄色になるのは、細胞中にあったカロチノイドという黄色の色素だけが残り、葉緑素がなくなるためだそうだ。こんな自然のしくみが、日本の秋の彩りと情緒をつくりあげているということなのだろう。


カエデ

(2002.10.23更新)

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